なぜ瞑想で精神が安定するのか?
このページでは、ペインスキャン瞑想で精神が安定する脳科学的根拠について解説します。
ペインスキャン瞑想について
ペインスキャン瞑想とは、「自分が今どのような苦痛を感じているのか」「その苦痛がどのように変化していくのか」を観察する瞑想法です。
ただし、呼吸を完全にコントロールできる状況下で行う必要があります。
ペインスキャン瞑想を実践すれば、知能が向上し、精神が安定します。
詳しくは、「ペインスキャン瞑想のやり方」のページをご覧ください。
なぜ苦痛を観察するのか?
以下、ペインスキャン瞑想によって知能が向上し、精神が安定するしくみについて解説します。
苦痛から逃れるために知能を制限する
人間は、誰でも苦痛から逃れたいという欲求を持っています。
しかし、苦痛を感じたときに、それを合理的な方法で取り除くだけではなく、自分の知能を制限することにより、苦痛から逃れようとする傾向があります。
例えば、以下のようなケースです。
- 嫌なことは考えないようにしよう ⇒ 思考力の制限
- 嫌だったことは早く忘れよう、思い出さないようにしよう ⇒ 記憶力の制限
- 苦痛を感じないようにしよう ⇒ 感覚の制限
知能が低下すると苦痛が増える
このように自分の知能を制限することで、苦痛から一時的に逃れることはできますが、長期的に見れば、より多くの苦痛を招く結果となります。
例えば、仕事がうまくいかないときに、酒を飲んで全てを忘れてしまえば、一時的には楽になるかもしれませんが、その先には苦しい未来が待っています。
知能が低下するほど苦痛も増えていく
苦痛が増えると、苦痛から逃れようとする傾向も強くなるので、さらに知能が低下します。
そして、本来はストレスに感じなかったことにまで、ストレスを感じるようになります。
例えば、以下のようなケースです。
- ささいなことでイライラして逆上してしまう。
- つまらないことで、いつまでも悩んでしまう。
- 常に何かしていないと不安になる。
- 何となく生きづらいと感じる。
- 妄想や幻聴に悩まされる。
悪循環から抜け出せなくなる
このように、
苦痛を感じる ⇒ 知能が低下する ⇒ さらに苦痛が増える ⇒ さらに知能が低下する…
という雪だるま式の悪循環に陥り、自分では抜け出せなくなります。
このような心理的傾向は、精神医学(認知行動療法)の分野では「体験回避」といい、精神疾患の原因になると考えられています。
悪循環から逃れるには?
このような悪循環から逃れるためには、どうすればよいでしょうか?
悪循環と逆のことを意識してやればよいのです。
つまり、苦痛から逃れようとして知能が低下しているわけですから、苦痛を正確に感じ取るトレーニングを続ければ、知能が回復し、苦痛が減少し、精神が安定していくということです。
以上がペインスキャン瞑想によって知能が向上し、精神が安定するしくみです。
なぜ呼吸が重要なのか?
人間は、強い苦痛に直面すると、意識のレベルが低下することがあります。
これを医学的には「解離」といいます。
瞑想中に解離が発生すると、瞑想の効果が得られません。
しかし、解離は、呼吸を意識してコントロールしつづけることで、予防できることが知られています。
したがって、ペインスキャン瞑想をするときは、解離が起こらないように、呼吸を意識してコントロールしつづける必要があります。