『煩悩』の本来の意味

このページでは、『煩悩』という言葉の本来の意味について、心理学・精神医学の視点から解説します。

『煩悩』とは?

煩悩は、仏教において、人間の不幸の原因とされています。
煩悩とは、本来、欲求そのものではなく、欲求によって思考力や判断力が低下すること(認知のゆがみ)をいいます。
煩悩は、以下のようなプロセスで発生し、小さな苦痛が大きな苦痛を招くという悪循環を生み出します。

  1. 苦痛を感じる。
  2. 苦痛から逃れたいという欲求が生じる。
  3. 苦痛が伴う情報を意識から遮断しようとする。
  4. 脳が本来認知すべき情報を認知できない状態となり、思考力や判断力が低下する。
  5. 身の回りの問題を合理的に解決できなくなる。
  6. 身の回りの問題が深刻化し、さらに大きな苦痛を招くという悪循環に陥る。

このような認知のゆがみは、心理学では「認知バイアス」または「感情バイアス」と呼ばれ、誰にでも起こり得る自然な反応とされています。

煩悩をなくす方法とは?

この煩悩をなくし、不幸の連鎖を断ち切る方法を説いた教えが八正道です。
八正道では、煩悩をなくすための具体的な瞑想のやり方が説かれています。
詳しくは、「『八正道』の本来の意味」のページをご覧ください。

関連する仏教用語

  • 四諦」は、煩悩が人間の不幸の原因であることを説いた教えです。
  • 八正道」は、煩悩をなくす方法を説いた教えです。
  • 涅槃寂静」は、煩悩が完全に消滅したときの精神状態のことです。
  • 「痴」や「無明」は、煩悩と同じ意味です。
  • 「十二縁起」は、認知のゆがみ(無明)によって悪循環が引き起こされるという教えです。
  • 「執着」は、認知のゆがみによって引き起こされる短絡的な思考や行動のことをいいます。
  • 「輪廻」は、輪廻転生のことではなく、認知のゆがみによって引き起こされる悪循環のことをいいます。

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