『煩悩』の本来の意味

このページでは、『煩悩』という言葉の本来の意味について、心理学・精神医学の視点から解説します。

『煩悩』とは?

煩悩は、本来、欲求そのものを意味するものではありません。
煩悩とは、欲求によって引き起こされる不合理な思考や行動をいいます。
つまらないことでイライラして他人に八つ当たりしたり、いつまでもクヨクヨと悩んだりしたことはありませんか?
それが煩悩の典型例です。

煩悩の本質

人間なら誰しも苦痛から逃れたいという欲求を持っていますが、常に合理的な方法で苦痛の原因を取り除くわけではありません。
多くの場合、自分で自分の認知能力を抑圧する、いわば「心に蓋をする」ことで、苦痛を意識から遮断しようとします。
しかし、このような方法で苦痛から逃れようとすると、脳が必要な情報を正しく処理できなくなるため、思考力や判断力が低下します。
その結果、苦痛の原因に合理的に対応できなくなり、より多くの苦痛を抱え込む結果となります。
これが煩悩の本質です。

煩悩が生み出す悪循環

煩悩は、以下のようなプロセスで発生し、小さな苦痛が大きな苦痛を招くという悪循環を生み出します。

  1. 苦痛を感じる。
  2. 苦痛から逃れたいという欲求が生じる。
  3. 苦痛が伴う情報を意識から遮断しようとする。
  4. 脳が本来認知すべき情報を認知できない状態となり、思考力や判断力が低下する。
  5. 身の回りの問題を合理的に解決できなくなる。
  6. 身の回りの問題が深刻化し、さらに大きな苦痛を招くという悪循環に陥る。

煩悩を取り除く瞑想法

どうすれば煩悩を取り除けるのでしょうか?
前述のとおり、煩悩は、苦痛を意識から遮断しようとして発生します。
したがって、それとは逆に、苦痛から目を背けずに、そのありのままを意識して観察することで、煩悩を取り除けます。
つまり、煩悩を取り除くには、「自分が今どのような苦痛を感じているのか」を観察する瞑想法を実践すればよいのです。
本サイトでは、このような瞑想法をペインスキャン瞑想として紹介しています。
詳しくは、「ペインスキャン瞑想のやり方」のページをご覧ください。

ペインスキャン瞑想の特徴

ペインスキャン瞑想には、以下のような特徴があります。

  • 初心者でも自宅で独学できること
  • シンプルで無駄がなく、効率的に習得できること
  • 瞑想で精神が安定するしくみまで理解できること

詳しくは、「ペインスキャン瞑想のやり方」のページをご覧ください。

関連する仏教用語

  • 四諦」は、煩悩が不幸の原因であることを説いた教えです。
  • 八正道」は、煩悩を取り除く方法を説いた教えです。
  • 涅槃寂静」は、煩悩が消滅し、精神が完全に安定したとき状態のことです。

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